「今日はお父さんに人参をむいてもらいました」
のメッセージと共に
母から送られてきた写真には
居間のソファーに腰掛けて
人参とピーラーを持った父の姿があった
数年前に病気をし、脳と身体に障害が残った父
母が、介護でいっぱいいっぱいになり
小さな子供のようにわんわん泣いて
電話をかけてきた頃もあった
今では そっとしておいたら
眠ってしまうことが増えた父に
少しだけ
何かを手伝ってもらうのだという
「お父さん、やっぱり手先が器用やわ」
そんな事を言いながら
父と母との静かな毎日が重ねられてゆく
父は道具を大事にする人だった
時計や靴を磨いたり
釣竿を長く伸ばし手入れをしたりする姿が懐かしい
料理人だったので
包丁が何種類も入った
アタッシュケースのようなカバンがあって
包丁を研ぐ姿は
背中に一本の筋が通ったように美しく
爪に刃をあてて研ぎ具合をみる眼差しが
かっこよかった
今 あのカバンは
どこにしまってあるのだろうか
輝きや鋭さは失ってしまっているだろう
今度 実家へ帰ったら
探してみよう
そして
そっと握ってみたい
スタッフ たま
私の父は漁師でした。
寡黙な人で自分から進んで話をするタイプの人ではありませんでした。
亡くなって4年が過ぎます、今まで父の存在は少し煙たいと感じていて懐かしいと思う気持ちがあまり感じなく
亡くなるまで7年の看病が思い出されました。在宅介護をしていてだんだん弱っていく姿が嫌で目を背けていました。
この文章を読んでものすごーく父に会いたくなりました。
父の後ろ姿、網を直している姿、魚を外している姿・・。生きていた父の姿が目に浮かびました。
ありがとうございました。
もうすぐお彼岸。 父に会いにお寺に行きます。
いつもの墓参りより少しじっくり父と話したいと思いました。
kiyomimamaさん
コメントありがとうございます。
実は私も父を少々煙たく感じた時期がありました。
でも、なんだかんだ言って大好きです。
遠く離れていても
どんな時でも
いつまでも
娘の幸せを願ってくれているのかなって
思っています。