特定の地域の地名の成り立ちや各地の命名法則などについて研究する「地名学」という学問が世の中にはありまして。 その中心課題となるのが地名の由来の探求なんだそうです。
地名には、その土地の気候・気象・地形・地質・景観などに由来するものが多く 地名によってその土地の特徴や過去の様子をうかがい知ることもできたりします。
地名学の研究者じゃなくてもなかなか興味深いし、面白い内容じゃないかと思うのですね。
当然気になるのが「“雨”に由来する地名はどうなんだろう?」ということ。
いろいろ調べてみたのですが、北斗出版さんから出ている「雨の辞典」という本の中に面白い内容を発見!
以下、少しまとめてみると…
地理学者の吉野正敏氏によると、気候に関する地名では「日」のつく地名が一番多く、次に風、吹、雲と続き、雨のつく地名は5番目にランキング。
「雨」という漢字以外で表記された地名でも「雨」が由来と考えられる地名がある。
例えば、京都府福知山市天田は浸水しやすい盆地で、海人の開いた田で、日照りの際には天に向かって雨乞いをし、大雨の時は冠水するので「天田(あまた)」と呼ばれるようになったんだそうです。
- 雨が降ると水がたまる低い地形を表す雨窪、雨沼、雨溜、雨坪、雨生沢など
- 山にかかる雲で観天望気をしたり、雨の降りやすい土地を表す雨谷、雨飾山、雨降山、雨降野、雨森、雨霧山、雨引山など
- 雨乞いの対象を表す雨乞山、雨乞岳、雨請石、雨乞滝、雨祈岡、雨司山など
- 天水を水源とする場所。雨田、雨畑など
- 露の田植えの時期における物忌みの際にこもった場所だったという説もある雨包、雨堤など
外国の地名に「雲・雨・風・雷・霧・雪」の気候要素文字がつく地名の出現する割合を調べたら、全体としては「風」のつく地名が多い。
雨だけに注目すると他の国が低率であるのに日本が一番多い。
また雲のつく地名はヨーロッパの3国には非常に少ない。
・海外の雨のつく地名
中国…雨帽頂
韓国…雨端、雨村峠、雨峠、雨村、雨谷、雨明峠、雨装山、甘雨里、雨日里
ドイツ…Rengendorf、Rengenhpeilsteein、Rngenstauf
スイス…Rengenloch
なるほど。
改めて日本人は雨と深くかかわってきたんだなぁ、とか。
アジア各国には台風があるから「雲」という字のついた地名が多いのかなぁ、とか。
ヨーロッパは風がよく吹いて乾燥した土地が多いのかなぁ、とか。
思うことことがありますね。
日本では平成の大合併で新しい地名も増えましたけど。
「全ての住人が雨水活用をしているまち」とか 「各家庭に雨水タンクが必ずあるまち」というのが由来となって 「雨」のついた新しい地名が登場したら面白いなぁ、なんて(笑)