謎に包まれたアンデスの空中都市マチュピチュ。
なぜこんな高地に都市を築いたのか、巨石はどこからどうやって運ばれてきたのか、カミソリの刃も入らないほど正確に、どうやって石を積むことができたのか。
そして、標高が2400mもの高地でどうやって水や食料を確保してきたのか。
まだ解明されていない謎だらけの遺跡ですが、治水・利水のすぐれた技術が活かされている都市だったということがわかってきているそうです。
降水量が少ないイメージのあるペルーですが、場所によって積雪地帯、温暖多雨地帯、熱帯雨林地帯もあり、気候区分に多様性があります。
マチュピチュの年平均降水量は約1,950mm、 意外にも日本の年平均降水量の約1,710mmよりも多いのです。
マチュピチュの水資源について有力な一説に、その豊富な雨水を地下に貯め、生活用水や農業用水として利用していたと言われて います。
(※まだはっきりと解明されてはいないので、他の説もあるようです)
都市の地価に広範囲にわたって敷き詰められた石がある種の貯水槽のような役割を果たし、地下に貯められた雨水が都市の中心部を走る水路を通ってゆっくると郊外の農地へと排水され、溜池に集められる仕組みになっているんだそうです。
さらにアンデネスと呼ばれる段々畑は人工的に土壌改良が行われています。上から土、川砂、軽石、石という4層構造になっていて、雨水を適切に吸排水する機能が備わっています。この土壌のおかげで標高が高いマチュピチュでも農作物を育てることができたのです。
3mずつ上がっていくアンデネスは全部で40段あり、3000段もの階段でつながっています。
石積みを維持する上でもっとも重要なポイントが「排水」。 雨の多いこの地で500年ものあいだ石積みが崩れなかったのは、当時の石積み技術が高く、きちんと排水ができてきた証でもあります。
都市に降った雨を一時貯留し、ゆっくり農地に流すという考え方。水を上手に活かす土壌改良技術と、水から石積みを守る土木建築技術。都市と農地を一体として考えた雨水利用は、現在のまちづくりの参考になるような気がします。
マチュピチュの近場には今でも水が湧き出る16の水汲み場があります。建設から500年経った今でも、この雨水利用システムは有効に機能しているんですね。
ちなみに余談ですが・・・
王様のトイレは水洗トイレだったのではないかといわれているそうですよ。