オランダと言えばチューリップ、運河、チーズ、ビール、そして風車のイメージ。
なぜ風車がたくさんあるかというと、オランダは風が強くて国土の1/4が海面下に位置するという”海抜0m”の国だから。
強い風が吹くとすぐ内陸まで海水が流れ込んでしまい、内陸に入ってきた海水を排出する動力に風車を使ってきたからなのです。
風車は海水だけでなく、いろんな原因で氾濫した水を排出するため貢献してきました。
近年はヨーロッパでも世界的な気候変動の影響を受けて都市型洪水が増えてきています。
街の中を縦横に運河が流れているアムステルダムの街も度々発生する洪水に悩まされているそうです。
そんな水に悩まされているアムステルダムで、風車による排水に頼る以外にも、雨水を使った面白い(おいしい?)プロジェクトが進行中です。
“天国の水”を意味する「Hemelswater」という社名の醸造所がアムステルダム市内にあるホテルの屋根で雨水を集め、なんと雨水を原料にしたビールを造って商品化してしまったのです。
そもそもビール醸造には、原料となる水以外にも大量の水が必要です。
ビール醸造に雨水を使うことで、”気候変動や治水に関心を持ち、(個人・行政が)できることから行動に移して欲しい”とアピールすることがこの企画の狙いなんだそうです。
確かに「雨水から作られたビール」というのは絶大なインパクトがありますね。
商品名は、豪雨や降雪等の激しい気象を意味するオランダ語の「Code Blond」というそうです。
ところで。
水はビールの品質を大きく左右するがゆえ、同時に興味があるのがそのお味。
雨水から造られたビールは「苦みがあるけれどフルーティで口当たりの柔らかな濃い味」なんだそうです。
こればかりは実物を飲んでみなければわからないので、残念ながら正確にお伝えすることはできません。
というかとても飲んでみたい…(笑)
Code Blondはオランダ国内のレストランやバーで飲むことができ、リカーショップでも販売しているそうです。
レストランやバーで飲む場合は日本円で500円くらい、リカーショップで購入するなら250円くらいらしいとうことなので、お値段的にも手頃ですね。
日本でも販売して欲しいというのが正直なところです。
Hemelswater社では雨水のジントニックも製造していて、今後もスイーツなどの様々なジャンルに雨水商品を導入していく予定とか。
それに伴って、さらに必要になる雨水を確保するために、街中のビルに雨水タンクを導入していく計画もあるそうです。
オランダは年間を通じて毎月50~80mmの降水があり、原料(水)の安定供給といった側面も含め、いろんな意味でオランダにぴったりな取り組みですね。
おいしいビール(商品)がみんなに飲まれるほど、街の治水力がアップし災害抑制に貢献するなんて最高です。
日本でも雨水を使ったビールを作ってくれるところはないのかな、などと期待しつつ…
雨水活用のさらなる可能性を語り合いながらCode Blondを味わうなんて粋ですよね。
もちろん雨水で造る日本酒というのも大歓迎です。