バンカープランツとは?
バンカープランツとは、農作物を育てる際に発生する害虫の天敵(その害虫を食べてくれる虫)を引き寄せる植物のことです。この天敵の活躍により農作物をダメにしてしまう害虫が減れば、農薬散布も少なくて済みます。
「バンカープランツ」の「バンカー」とは、「銀行家(Banker)」で、天敵を”バンカー”プランツに預けておいて必要な時にその効果を引き出す(=害虫を食べてもらう)という意味です。
代表的なバンカープランツ3つをご紹介します。
1.キンレンカ(ナスタチウム)
ノウゼンハレン科の一年草。観賞や茎葉、花を食用にするために栽培されます。
アブラムシを食べるテントウムシを呼んだり、コナジラミ・ハモグリバエを遠ざけて生育を助けてくれます。
花や若葉はクレソンのような辛味があり、種子を塩漬けにしてケッパーの代りに使ったり、サラダや肉料理の付け合わせに使われます。
ビタミンCやミネラルを豊富に含んでいるのでたくさん食べたいところですが、キンレンカをそれだけで食べようとすると辛みや苦味が強いため、メインには向かないようです。
2.ソルゴー(モロコシ)
茎や葉を飼料としたり、茎からシロップを製造するモロコシの一群。栄養価がとても高く、小麦粉の代用品にもなる便利な植物です。
沖縄ではムーチー(トーナチン)と呼ばれ、もち粉やきな粉とあわせてカーサムーチーというお餅を作るそうで、これは子どもの成長と家族の健康を祈願する縁起の良い食べ物と言われているようです。
キュウリ・メロンをはじめ、ナスやピーマンなどの野菜のほか、果樹など、多くの植物に寄生するミナミキイロアザミウマを食べるヒメアナカメムシを呼びます。
3.ヨモギ
キク科の多年草。セイタカアワダチソウと同じで地下茎などから他の植物の発芽を抑制する物質を出すアレロパシー作用があります。特有の香りがあり、新芽を茹でておひたしや汁物の具にもピッタリ。また、アク抜きをしてきざみもち米と一緒に蒸せば、子どものころよく食べたよもぎ餅にもなります。
キャベツ、ブロッコリー、小松菜、ダイコン、ハクサイなどアブラナ科に好んで付くアブラムシを食べるテントウムシを呼びます。
最後に
退治したい害虫の天敵を引き寄せる植物を植えることで天敵に害虫を捕食してもらい、メインの植物を守る…実際に効果が証明されているものと、経験的に効果があるとされているものがありますが、それにしても初めにこの方法を考え出したひとはすごいですね。このバンカープランツを使ったやり方は1983年にデンマークで開発されたそうです。
バンカープランツの中には、今回ご紹介したように害虫などから野菜を守ってくれ、なおかつ食べる楽しみのある植物もあります。
効果抜群!ではない場合もありますが、農薬をなるべく使いたくない場合にはぜひこのバンカープランツを試していただきたいです。