日本は世界的に見ると全体的には水に恵まれている国ですが、水が不足していたり、逆に多すぎて、渇水や洪水などの災害となっている地域もあります。
グリーンインフラによる治水は日本にも必要です。
海外ではグリーンインフラを導入している国がたくさんあります。
アメリカのニューヨークやポートランド、シンガポール、イギリスのロンドンの先進国はもちろん、ニカラグアなどの途上国にも例があります。
なかでもシンガポールは水不足が問題でグリーンインフラの先進国とも呼ばれ、水問題の解決に取り組んでいます。
①シンガポール
世界で最も人口密度が高いシンガポールは国内で必要とされている水の半分以上をお隣のマレーシアから輸入しているほど水不足。
最近ではマレーシアの債務の削減で水の供給が見直される可能性があり、ますます水問題は深刻になっています。
そこでシンガポールは「ABC Water Design Guidelines」(ABC-WDG)という 国全域を対象としたグリーンインフラプロジェクトを実行し、2030年までに約100のプロジェクトが対象になっています。
その中で最大級のプロジェクトが都市型河川公園の「ビシャン・パーク」。
できるだけ早く水を下流に流すための排水用に作られた全長3kmのコンクリート三面張りのカラン川の川幅を従来の17~24mから最大100mまで拡幅し、自然型の河川に再生。
25年に一度の洪水が起きたが非常時の水量にも対応できているとのこと。
またこの公園では治水や排水の機能だけでなく、コミュニティーの場として人がたくさん集まり自然の魅力を体感できる場所にもなっていて親しまれています。
②ニューヨーク
ハリケーンの大きな被害を受けニューヨークのグリーンインフラは普及し始めました。
もともと鉄道で使用していた全長2.3㎞の廃線をパリのプロムナード・プランテのように緑いっぱいの空中公園に生まれ変え、雨水を貯めながらゆっくりと地面・地下に流すという設備を整えました。
ここでも寂れた線路にかわり、自然を感じられる空間には人がたくさん集まり周辺の経済効果はなんと3.000億円ともいわれています。
またニューヨークのブルックリン地区を中心に約2.300か所にグリーンインフラの施工がされています。
主にレインガーデンで、雨水を一時的に貯留し、時間をかけて地下へ浸透させる植栽スペースです。
ただ植物を植えるだけでなく、現地に適した材料や植栽を選定しなければなりません。
これを作ることにより、地盤が緩くなって起きる土砂災害が軽減されたり地下水が一気にあふれ出したりするのを防ぐことが出来ます。
グリーンインフラは災害を防ぐだけでなく、緑には自然と人がたくさん集まりコミュニティーの場として水や自然と親しんだり、環境教育の学びの場としても盛んになる場所でもあると思います。