秋といえば待ちに待った鮭のシーズン。
焼いても煮ても、刺身にしてもおいしい鮭は日本の食卓に季節感と“おいしい”を届けてくれるありがたい旬の味。
まばゆく輝くオレンジ色をした筋子や、ぷりぷりした白子もこの季節ならではのもの。
ところが2016年は記録的な鮭の不漁。
過去30年で最低水準になりそうと予測され、漁業関係者を悩ませるだけでなく、鮭を楽しみにしていた消費者にとっても悲しい事態となっています。
その一因は、滅多に台風が上陸しないという北海道に立て続いて上陸した台風。
海水温の影響で漁獲量そのものが減っている上に、大量の流木が漁の妨げになっていることが追い打ちをかけているといわれています。
さらに、あるニュースで取り上げられていたもう一つの要因が台風による大雨。
鮭は生まれた川の水の匂いに対する記憶を頼りに回帰する、という考え方が有力視されています。
鮭が回帰する時期に台風による大雨が降ったことで海・川の水が薄まり、鮭が母川の匂いを判別できなくなって迷子になったことが不漁の原因の一つではないか、と指摘していました。
自然界の営みはとても複雑なので、鮭の不漁は台風と台風に伴う大雨が全ての原因、とは言い切れないですけれど。
でも、過去に滅多に台風が上陸しなかった北海道にこれほど台風が集中したこと、海水温が上昇傾向にあること、大雨が海・川の水を薄めてしまったこと。
これらの異常現象は、近年顕著な環境破壊による地球温暖化と無関係ではない、とだけは言えそうです。
鮭だけでなく、サンマ、イカ、シシャモも軒並み不漁という、悲しいを通り越して、いろいろなことが心配になってしまう今年の秋。
気候の異常はそのまま我々の食卓にも影響を及ぼします。食材は買えば手に入るという現代では、価格が高騰するという危機感しかないかもしれません。
でも、食材そのものが手に入らなくなってしまえば、価格云々どころではないのですよね。
野菜や果物なら“雨”が原因で不作、というのは素直に理解できますがまさか“雨(台風)”が原因で鮭が不漁になるとは。
健全な自然の営みが壊れると、どれだけ広範囲に影響が及ぶのかを改めて気付かされた感じです。