自由律園芸

花のおまじない


世の中には、色んな “おまじない” があります。

 

その中のひとつ。

 

毎年6月30日、

わが家では庭に咲くアジサイを切っては麻ひもで結び、

逆さまにしてトイレに吊るします。

母が言うには、

丹後地方に古くから伝わる おまじない だそうで、

下の病気にかかりにくくなるのだそうです。

 

それがいつのまにか、

「自宅のアジサイを使うよりも誰かにもらった方が良い」

という新ルールが加わったものだから、

 

この時期になると、

紐で吊るしたアジサイを大量に抱えた母が、

ご近所を順番に訪問するようになりました。

 

この新ルールは、

『とにかく人に なんかあげるのが好き』な母が、

勝手に付け加えたものではあるまいか、

と私はひそかに疑っています。

 

それはさておき、

わが家もまた ご近所さんから頂いたアジサイを、

毎年トイレの壁に吊り下げるようにしています。

 

吊り下げたアジサイは、

すぐに色を落としてベージュに変色しますが

来年の6月30日まで、

その形のままジッと家族を見守ってくれるのです。

 

 

再び季節がめぐり、

1年間のお勤めを終えたアジサイ氏が、

色鮮やかな新入りと交代される時、

 

私は敬意を表して、

 

「1年間、ありがとうございました」

 

と、お礼を言ってからお別れします。

 

 

花のおまじない・・・・・・。

誰が始めたのかは知らない。

それは確かに誰かから始まって、

多少のアレンジが加減されつつ、

様々な時代を経由し、

 

今なお私たち家族や ご近所さんたちの

 

下のパトロールをしてくれているのです。

 

この何の根拠もなく行われる

おまじないの効用のほどは・・・

 

梅雨時の呼び鈴に応じて玄関を開けた、

 

あなた自身が体験してみてください。

 

 

 

 

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